the Caduceus of Hermes

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<近衛隊―プラエトリアニ


ルーデンドルフ家次期当主を護衛する為に組織された、精鋭部隊。
時には、その力を持って主の剣となり、
時には、その身を挺して主の盾となる。




……筈なのだが。




「…どいつもこいつも…っ…!!」


リクは、他家だというのに相変わらず後先を考えない猪突猛進ぶり。
近頃はいっそう柄が悪く、警戒していたもののその暴走は想像以上。

…とはいえ、相手の警護隊に喧嘩を売る馬鹿がどこにいるんだ。



それを見張るべきはずのレオンは、写本を見るなり私の手から奪い取り
ソファの上で胡坐をかいて読み耽っている。

出発時に道具を没収されて、絶望に沈んだ目から一転、
まるで玩具を与えられ、喜びと好奇心に跳ねる子供だ。

…護衛すべき私の事は、眼中にないのか、こいつは。



かといってユーリは未だ外に連れ出せる状態ではないし、
ロイドは別の任務……ここには連れて来られない。



今日だけで何度、眉間に皺を寄せただろうか。
ついたため息の数は、もはや数えきれない。




ただでさえ、ロンズデール伯爵家は居心地が悪い。




”婚約パーティー”から程遠い、異様な緊張感。
来客者は、それに気付いているのだろうか。

それとも…

私と彼だけが感じているのだろうか。



レオンが嬉しそうに読み耽っている、一冊の本。
ストーリーどころか、タイトルすら知らないこの本を、
彼は、私に返すと言ってきた。


興味、ではない。
不安が、その本の正体を明らかにせよと焦らせる。




「…レオン。それは、一体何の本だ?」


「えぇっ!?ご存じないんですか!?『ニーベルンゲンの歌』!
 不朽の名作ですよ!」



…小説?
彼が言っていた”彼女”とは、誰のことだ?
彼は、私に何を伝えようとしたんだ…?
大体、何と言っていたんだったか…
何かを振り払うように、背を向けたまま言い残した言葉。

確か…




『グラムは我が心にあり』




それを聞いた瞬間、レオンの表情が曇る。



「ロンズデール子爵は、どちらに…?
 ……子爵を止めなくては…っ!」


「ちょ…っ、待て、レオン!!」


また独断行動か…っ!
せめて説明をしないか!!




だが…


レオンをここまで焦らせるなんて、只事ではないのだろう。
単なるマイペースな奴ではない。
冷静な判断力は、近衛隊随一だ。







…いや、レオンを上回る力を持つ者が、ひとり―








お前は、一体、何を私に伝えようとした。



お前は、一体、何を起こそうとしている。





お前は……
 
ゲスト クラウス 20:30 comments(0)
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